中小企業診断士2次試験でのSWOT分析の役割
中小企業診断士試験特に2次試験勉強において重要なSWOT分析とは何なのかここでまとめてみたい思います。これも試験勉強のブレイクタイムという認識で気になっても特に深く調べる必要はないかと思います。
SWOT分析の歴史
・SWOTマトリックス自体を発明したのはスタンフォード大学のアルバート・ハンフリー(1926-2005 アメリカ)と言われています。
・ハーバードビジネススクールのケネス・アンドルーズ(1916-2005)が経営トップ層が企業戦略を作るための手法として進化させて爆発的に普及しました。
※ちなみにケネス・アンドルーズはマイケル・ポーター(1947-)の恩師だが、思想の違いにより決別します。
・現代でも多くの企業で活用されている色あせない手法です。
中小企業診断士試験におけるSWOT分析
中小企業診断士試験においては特に事例Ⅰから事例Ⅲで非常に重要視されています。①経営目標を識別し、②環境にある機械(O)と脅威(T)を抽出し、③自社の強み(S)と弱み(W)を抽出し、④環境と事例企業がマッチした戦略を打ち出す4つの過程から解答を作成していきます。
※経営資源はヒト、モノ、カネ、情報、保有する資源とのシナジーに着目することが大切です。
※強み、弱み、機会、脅威はそれぞれ1つの角度のだけで考えず、反対の立場からも考えながら、事例企業に有効な措置を検討していきます。
(例えば旅行代理店にとって高齢化は人口減という脅威とも取れますが、介護付き旅行サービスなどの開発をすれば、高付加価値のある旅行商品を売る機会とも取れます。)
事例ⅠにおけるSWOT分析
経営資源の活用が特に重要視されています。ヒト、モノ、カネ、情報について問題本文中に見つけたら迷わずピックアップしましょう。
特に最近の試験では、従業員のスキル、ノウハウ、組織としての学習の蓄積、慣習、文化などの情報資源だったり、一朝一夕では真似できない非言語的な資源は、他者にとっても模倣困難性が高く価値があるものと考えられており、こういう文言はピックアップしていきましょう。
事例ⅡにおけるSWOT分析
事例Ⅱにおいてはマーケティング環境分析で特にSWOT分析の応用力が試されます。
実際に事例企業がどのよう製品、サービスが実行できるか以下のような形で答えを見つけていきます。
事例企業は老舗醤油メーカーである。
【強み】
醤油関連製品(減塩醤油、だし醤油など)の開発力がある。
【機会】
同社の地域は高齢化が進み、健康志向は高まってきている。
↓
【助言内容】
健康志向の高齢者向けの体にいい減塩めんつゆを製品ラインナップに加える。
※助言の内容はあくまで試験であるため、採点しやすいよう本文から根拠を見つけることが大切です。
事例ⅢにおけるSWOT分析
SWOT分析の中でも工場運営という特に内向きな課題であることから強み(S)と弱み(W)に特に注意を向けることが必要になります。
業界内との比較による強みと弱みが本文中にあることが多いため、もれなく拾い上げ検討をしましょう。
念のため書きますがいくら事例企業が不採算であるからと言って、OEMやファブレス、もしくは事業自体からの撤退と書きたくなることがありますが、元も子もない解答となり、適さないため絶対に書かないほうが無難です。
さいごに
お読みいただきありがとうございました。2次試験はまだ先の話にはなりますが何かの参考になれば嬉しいです。ちなみに事例Ⅳについては書きませんでしたが、経営分析の指標の選択時にSWOTでおおよその目星をつけることにも使えます。
引き続き勉強を頑張ってください。勉強方法が合わないと思ったら、早めに独学から通信または通学と方法を変えてみるのも手です。最終的に合格を勝ち取れるよう常にベストを尽くしましょう。
ご参考)
【通学の場合】
TACに通学し、各科目ごとに申し込むことができ、直前期の講義が受講可能です。
【通信教育の場合】
診断士ゼミナールに登録し、5万円前後でテキストや講義が3年間無償延長できます。
楽天リサーチ1位!中小企業診断士講座の診断士ゼミナール 1次2次フル講座42,000円~
中小企業診断士2次試験の勉強について
以前の記事で中小企業診断士試験ストレート合格のためには、1次試験勉強の際に2次試験の科目を見据えることが大切だと書きましたが、今回は2次試験の概要をお伝えしたいと思います。
本記事の目的は1次試験勉強中に、1次試験にだけ必要な知識と、2次試験にも必要な知識を認識して、より効率よく勉強していただくために活用いただくことを目的としています。
2次試験の特徴
まず2次試験はどんなものかわからないという方は5分で構わないので『第2次試験過去問題集』を開いてみてください。
中小企業診断士 最短合格のための 第2次試験過去問題集 2019年度
- 作者: TAC中小企業診断士講座
- 出版社/メーカー: TAC出版
- 発売日: 2019/01/31
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログを見る
『第2次試験過去問題集』を開いてみるとざっと見た限りでこんな感想を持つはずです。
・記述式なんだ。。(マークシート試験ではない)
・問題本文が長いな。。
・問題要求が何通りも解釈できるな。。
2次試験は1次試験のように勘や消去法で解ける試験ではなく、本文をしっかり読める力と裏付けられる知識、スキルが必要な試験です。
「問題要求をまず把握する。⇒問題本文から該当するような記述をすべて抜き出す⇒出てきた記述をすべて整理、分析する。⇒解答を作成する。』という流れを何回も繰り返し疑似的にコンサルタントを行っていきます。しかし試験ですので、私にしか思いつかないウルトラC的な答えは全く点数につながらず、冷静に今まで勉強した知識から課題解決方法を解答します。
2次試験は4つの事例に分かれており、それぞれ1次試験の知識が必要になります。
2次試験のスケジュールは以下の通りです。
スケジュール
9時40分から11時00分
事例Ⅰ(組織人事)
必要となる知識:企業経営理論(組織論)
11時40分から13時00分
事例Ⅱ(マーケティング・流通)
必要となる知識:企業経営理論(マーケティング論)運営管理(店舗・販売管理)
14時00分から15時20分
事例Ⅲ(生産・技術)
必要となる知識:運営管理(生産管理)
16時00分から16時20分
事例Ⅳ(財務・会計)
必要となる知識:財務・会計
事例Ⅰ(組織・人事)の概要
・主要な論点は経営戦略論、組織論、営管理論、人的資源管理論などであり、1次試験の企業経営理論の知識があれば基本的には対応できる問題です。
・上記4つのテーマで戦略と組織が合致しているかなど、体系的にわかっていることを解答に求められます。
(過去問頻出:成長要因・組織構造・組織管理・人材の採用、育成・事業構造、低迷要因・人材・外部環境分析・成果主義・非正規雇用・モチベーションマネジメント)
事例Ⅱ(マーケティング・流通)
・主要な論点はマーケティングと流通のため、製造業、小売業、サービス業問わずいかにモノを売るための仕組みを提案できるかということが問われている。
・意外と図にキーとなる数字が隠されていることが多い。
・問題要求に解答の方向性が示されているため、問題本文と図だけに夢中にならないことが大切。
(過去問頻出:製品戦略・経営戦略・マーケティング環境分析・プロモーション戦略・関係性マーケティング)
事例Ⅲ(生産・技術)
・主要な論点は生産管理的だが1次試験の運営管理の用語は意味が分かる程度でいい代わりに、問題・課題と改善策の解答ができること、生産形態ごとのメリット、デメリットがわかること、社内コミュニケーションにも触れることが大切。
・SWOT分析、ECRSの法則、5W1H、QCDが非常に役に立つことが多い。
(過去問頻出:SWOT分析、ドメイン、生産計画、作業、情報システム)
事例Ⅳ(財務・会計)
・主要な論点は1次試験の財務・会計がベース。1次試験では持込不可だった電卓を使い経営分析をはじめ、1次試験の知識をもとに事例企業を分析していく。
・計算過程にも部分点が入るため、極力過程は消さずに解答は提出する。
(過去問頻出:財務諸表作成、経営分析、キャッシュフロー計算、CVP分析)
口述試験について
2次試験は筆記試験で終わりではなく、筆記試験合格者には筆記合格通知後に口述試験が待っています。
口述試験は2次筆記試験の内容をベースに事例ⅠからⅣの内で事例企業を取り上げ、さらに面接形態で分析を深掘りしていくような試験です。
そのため筆記試験が終わったら、打ち上げで居酒屋に入りたくなるところをぐっと我慢して試験会場近くの図書館やカフェでノートを開き、その日自分が書いた答案を復元して保管しておきましょう。
筆記の合格通知から口述試験まで非常に時間もなく対策も取りづらいので答案を残しておくだけでもスムーズに次の試験に対応が取れます。
予備校各社では2次試験筆記合否診断などのサービスや口述模擬試験サービスも行っているので、そういったサービスに参加する際にも有益です。
引き続き各事例の情報を今後も発信していきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
企業経営理論の試験勉強をすると気になる登場人物2
前回に引き続き企業経営理論の試験勉強の際に出てくる学者さんたちについて簡単にまとめてみたいと思います。
さすが超大国アメリカです。経営戦略の歴史とはアメリカの歴史と言っても過言ではないようです。
ボストンコンサルティンググループ(BCG アメリカの戦略系コンサルファーム)
登場人物を紹介しますと言いながらいきなり組織になってしましたがすみません。
1.試験に出るところ
・製品ライフサイクル
2.どんな組織?
・1963年にアーサー・D・リトル(老舗のアメリカの戦略系コンサルです。)をスピンアウトしたブルース・ヘンダーソン(1915-1922)によりボストンで設立された。
・1966年には2番目の拠点として東京オフィスをジェイムズ・アベグレン(1926-2007)を使い設立し、アメリカ至上主義だった経営コンサル会社がグローバル化するきっかけになった。
・1969年当時入社1年目のリチャード・ロックリッジがPPMのマトリックス図を発明してBCG最大のヒット商品となる。
・現在世界31か国にオフィスをもち約5400人が働いている。
・今や世界上位企業の3分の2はBCGの顧客と言われるほどの超一流戦略系コンサル会社で、慈善事業としてSave The Childrenなどに無償でコンサル提供している。
マイケル・E・ポーター(1947- アメリカ)
1.試験に出るところ
・競争戦略論(5フォースモデル)
・ダイヤモンドモデル(立地の競争優位の源泉)
・戦略3類型
2.どんな人?
・ハーバードビジネススクールMBA取得後、経済学部で博士号取得し、博士論文で5フォースモデルを発表した。
・博士号取得後ハーバードビジネススクールで働き始めるが、当時レアだった経済学部博士号出身者は成果が上げられず苦しみますが1980年に『競争の戦略』により一発逆転し、正教授に就任する。
・ご健在でTEDなどではいまだにプレゼンを聴くことが可能。
最後に
企業経営理論は内容的にも社会人の方には面白いと感じる部分であると思います。私自身も試験勉強をする中で、経営戦略的な部分に非常に興味を持ち、MBAを取得してみたいと夢見るようになりました。
ちなみに今回よく出てきたハーバードビジネススクールは渡航含めた総費用が最低でも1,100万円程度かかるようです。現代の経営戦略論の中心を走り続けてきた最先端拠点で勉強ができると考えれば安いのかもしれません。ちなみに国内でしたら慶應義塾大学ビジネススクールやグロービス経営大学院がおすすめのようで、各校無料セミナーなども行っているため参加してみるのもいいかもしれません。
参考リンク)
グロービス経営大学院(ビジネススクール)|創造と変革のMBA
KBS 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 | 慶應義塾大学ビジネス・スクール
面白い取り組みとして海外認証のMBAを通信教育で取得するサービスもあります。マサチューセッツ州立大学は留学不要のカリキュラムがあり、日本と同レベルの費用で海外MBAを取得することが可能です。
参考リンク)
ただいずれの学校にも得意とする領域がありますので、資料請求やセミナー等に参加してじっくり選んだうえで入学することをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。